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ザトウクジラが「泡の柱」を作って漁をするムービーが撮影される


ザトウクジラは吐き出した「泡」を使って網を作り獲物を追い込む、「バブルネットフィーディング」という漁を行うことで知られています。ハワイ大学マノア校Alaska Whale Foundation(アラスカクジラ財団)スタンフォード大学の研究チームは、上空のドローンカメラやザトウクジラに取り付けたカメラを組みあわせ、ザトウクジラによるバブルネットフィーディングを撮影することに成功しました。

Incredible, Rare Underwater Footage Shows Whales Using Bubble 'Nets' to Hunt
https://www.sciencealert.com/check-out-this-amazing-video-of-whales-using-bubbles-to-hunt


ザトウクジラは水中で円を描くように泳ぎつつ泡を吐き出し、次第に水面へ向かって上昇していく泡の柱で魚などの獲物を閉じ込めます。ハワイ大学の海洋生物学者であるLars Bejder氏らの研究チームは、ザトウクジラたちの上空に飛ばしたドローンカメラの映像と、ザトウクジラに取り付けたカメラの水中映像、さらにクジラに取り付けたセンサーなどから、ザトウクジラの漁に関する豊富なデータを収集したとのこと。

研究チームが撮影したムービーの様子がこれ。

Whale bubble-net feeding documented by UH researchers through groundbreaking video - YouTube


水面をとらえたムービーに映っているのは、円を描くようにただよっている泡。至近距離に2つの「泡の柱」が形成されています。


その中から水面に向かって現れたのは数頭のザトウクジラ。大きな口を開きながら泡で作られた円柱の中を上昇することで、閉じ込められた獲物を一網打尽にして食べることができます。


同時に研究チームが撮影した水中ムービーがこれ。


ザトウクジラが泡を吐きながら、ぐるぐると円を描くように泳いでいる様子がわかります。


これまでにもザトウクジラの漁がムービー撮影されることはありましたが、ドローン映像と水中映像を組み合わせることは、非常にエキサイティングな試みだとBejder氏は述べています。


複数のカメラとセンサーを組み合わせることにより、どのザトウクジラがどのように行動しているのかをチェックすることが可能。


ザトウクジラに取り付けたセンサーが収集したデータからは、獲物を捕らえるための泡を作るためにザトウクジラが泳いだルートがわかります。データを見ると、ザトウクジラは垂直な円を描きながら泳いでいるわけではなく、斜め方向に移動しつつ次第に円の大きさを小さくしながら泳いでいることがわかります。


ザトウクジラには夏になるとアラスカを訪れ、冬になるとハワイ周辺へと帰る習性があります。冬の間は繁殖・出産・子育てなどを行うため、ザトウクジラはほとんど食事をとりません。そのため、夏の期間にオキアミをはじめとする大量の獲物を食べ、エネルギーを蓄えておく必要があるとのこと。


研究チームによると、ザトウクジラの漁は学習によって習得されたものであり、全てのザトウクジラが泡を使った漁を行うわけではないそうです。また、漁に参加するザトウクジラたちは全てのメンバーが確実に獲物を食べられるように配慮されており、ザトウクジラの協調性がうかがえます。


Bejder氏は今回の映像が画期的なものであり、ザトウクジラが獲物を捕獲する方法について観察することで、これまでは得ることのできなかった洞察を得られると主張。近年ではハワイ沖でのザトウクジラの目撃数が減少しているといった報告もされていますが、今回収集されたデータをもとに、その理由を解明する手がかりが得られる可能性があるとのことです。

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in 生き物,   動画, Posted by log1h_ik

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